事例・決済サービス「PayPay」から学ぶネーミングのコツ|語頭に破裂音×音の繰り返し
モバイル決済サービスの「PayPay」。
「100億円キャンペーン」や「やたら当たるくじ」等、ド派手なキャンペーンが話題となっています。
参考:PayPay、「やたら当たるくじ」を一部終了 Yahoo!プレミアム会員の当選確率優遇なくなる|ITmedia NEWS
今日は話題のモバイル決済サービス「PayPay」について、ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。
(1)語頭に破裂音
「PayPay」は語頭が「ペ」。半濁音であり、破裂音でもあります。
破裂音は強く結んだ唇を勢いよく弾けさせて発音します。
このため、発音すると気持ち良い。思わず口にしたくなるのです。
また、音を破裂させるため、明るく元気の良い印象を与えます。
「PayPay」はこの破裂音が語頭にある。
だから印象に残りやすいわけです。
破裂音であるパ行の音を語頭に使った名前としては、例えば、「パッソ」(自動車);「ポッキー」、「パピコ」、「プリングルス」(菓子);「ピカチュウ」、「プリキュア」(アニメ);等があります。
元気な印象の商品が揃っているように見えるのは気のせいでしょうか(笑)
(2)音の繰り返し
「PayPay」は「ペイ」という音を2回繰り返しています。
音の繰り返しもまた、聞いた人の印象に残ります。
同じ音を複数回聞かされるからです。
ましてや、「PayPay」の場合は破裂音が繰り返されるので、余計に印象に残りますよね。
音の繰り返しを使った名前としては、例えば、「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」<アパレル>;「キレイキレイ」<ハンドソープ>;「Francfranc(フランフラン)」<インテリア・雑貨>;「ほっかほっか亭」<持ち帰り弁当>;「ドムドム」<ハンバーガー>;等があります。
どれも一度聞いたら忘れない印象的な名前です。
音の繰り返しに関しては、以前も事例を紹介しています。
こちらも読んでみてくださいね。
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(3)会社名を入れない
「PayPay」はソフトバンクとヤフーの合弁会社のサービスです。
しかし、会社名を想起させるフレーズは全く入っていません。
「ソフバンペイ」でも「ヤフペイ」でも「Yペイ」でもないわけです。
孫正義さんは、元々、この決済サービスの名前を「Pay」にしたかったようですね。
しかし、決済サービスに「Pay」だとサービス内容の説明にすぎないという理由で商標登録が難しい。
それで、仕方なく「PayPay」にしたということです。
会社名を入れた名前にすることで、その会社のサービスであることを明確化することができるというメリットはあるんです。
実際、「Amazon Pay」、「LINE Pay」、「楽天ペイ」等の決済サービスが登場しています。
しかし、「PayPay」はあえて会社名を入れていません。
ここには、「うちが決済サービスの第一人者ですよ」、「他のは、後追いの2番煎じですよ」とアピールする意図があるように思います。
サービス内容の「Pay」を2回繰り返すことで、サービス内容を明らかにしつつ商標登録の条件を満たす。
そして、会社名を入れないことで、そのサービスの第一人者であることをアピールする。
一石二鳥の作戦なのです。
まとめ
「ペイペイ、ペペペ、ペイペイ!」。
「PayPay」は宮川大輔さんを起用したTVCMでも破裂音と音の繰り返しを効果的に使っています。
やたらと印象に残りますよね。あのCM(笑)
皆さんも、ネーミングの際には「破裂音」、「音の繰り返し」を意識してみてください!
この話題についてはTwitterにも投稿しています。
こちらも覗いてみてくださいね!
100億円キャンペーンで話題の支払い用スマホアプリ「PayPay」。
— ローテク弁理士®ヤマダ(たまにスイーツ弁理士) (@sweetsbenrishi) February 13, 2019
「Pay」という語で支払い用ツールであることは一目瞭然。
「ペイ」という同じ音の繰り返しが強烈に印象に残ります。
「PayPal」と並べてみると違いがわかります。https://t.co/kZCIkHo6Zc#ブランディング #ブランド戦略 #ネーミング
ネーミングに興味が出てきた人へ
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ネーミングのコツ。センスの良い商品名を作るための5つのポイント
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