地方の企業が東京の弁理士に商標登録を依頼するメリットについて解説します

地方企業が東京の弁理士に商標登録を依頼するメリット

地方の企業は地元の弁理士に商標登録を依頼することが多いようです。確かに地元の弁理士を使えば、地域密着の安心感はあるでしょう。困ったらすぐに相談に行けるというメリットもあります。ただ、本当にそれが最適の選択肢なのでしょうか?この記事では地方の企業が東京の弁理士に商標登録を依頼するメリットについて解説します。

目次

商標登録をするメリットとは?

そもそも商標登録をするメリットとは何でしょうか?

例えば、新商品を発売する際にその新商品の名称(商品名)を使うために商標登録をする必要はありません。商品名を使うために商標登録をすることは必須ではないのです。では、なぜ商標登録をした方がよいのでしょうか?大まかに言うと、以下の4つです。

  • 名称の使用権(独占的使用)を確保する
  • 企業の認知度・信頼性を向上させる
  • ブランド価値を増大させる
  • 商圏を拡大する

名称の使用権(独占的使用)を確保する

新商品を売り出す、新サービスをリリースする、新しい会社を立ち上げる。これら新しい名称は商標登録しなければ使えないわけではありません。他人が商標登録していない限り、その名前を使うのは自由です。

ただ、商標登録をしない状態でその名称を使うということは常に不安定な状態で事業を行っていることに他なりません。空き地にゴザを敷いて商売をしているようなものです。あなたが独占していない名称は他人も使うことができます。そして、他人がその名称を商標登録してしまえばあなたは使えなくなります。

自分がその名称を継続して安定的に使用するために名称の使用権を確保する、すなわち商標登録をしておいた方がよいということです。

企業の認知度・信頼性を向上させる

いくら良い商品でも平凡な名称だと覚えてもらえません。類似商品と区別がつかず、間違えられてしまいます。良い名称・個性的な名称は口コミで、あるいはメディアで伝わり、商品・サービス・会社の認知度を向上させます。

その名前に「®(マルR。登録商標であることの表示)」が付いていれば、その商品等の製造元・販売元はしっかりした会社なのだと理解されます。また、その名称を商標登録することで、他社が同じ名称や似た名称を使えなくなります。それが消費者や取引先に安心感を与え、信頼性も増すのです。

ブランド価値を増大させる

商品等の良い評判はその名称の上に蓄積されていきます。良い評判が積み重なっていくことにより、その名称の商品は良い商品であるという消費者からの信頼が確立されます。それがその名称のブランド価値となり、その価値が日増しに向上していくのです。

商標権は知的財産権の一つであり、財産的価値があります。業務上の信用を財産に置き換えることができるということです。例えば土地・建物等の不動産と同様に売却したり、他社とライセンス契約を結ぶことで収益を得ることもできます。

商圏を拡大する

商標の認知度が上がり、ブランド力が向上していけば、その良い評判が独り歩きするようになります。遠方からも取引をしたい人が現れるでしょうし、認知度を活かしてネット通販を行うことも期待することができます。商圏は一地方のみならず、日本全国に展開することが、そして世界各国へと広がっていくのです。

最近では地方発のブランドが全国的に人気を集めるケースも増えています。インターネットが普及した時代においては地理的不利はありません。地方企業のビジネスを全国に展開することができるがる時代だからこそ、商標登録をしないリスクは大きいといえます。

地元の弁理士ではなく東京の弁理士に商標登録を依頼した方が良い理由

商標登録をした方がいいとして、なぜ地元の弁理士ではなく東京の弁理士に依頼した方が良いのでしょうか?

それは東京は弁理士数が圧倒的に多く、様々な弁理士の中から自分の会社に合った弁理士を選択することができるからです。

日本弁理士会会員の分布状況をまとめた表です。各々の地域に主たる事務所を置いている弁理士の数を示しています。

地域都道府県弁理士数(人)
北海道52
東北青森県、岩手県、宮城県、山形県、福島県53
関東東京都6,387
神奈川県876
茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、栃木県、山梨県641
東海愛知県611
岐阜県、静岡県、長野県、三重県248
北陸石川県、富山県、新潟県、福井県85
関西大阪府1,747
京都府、滋賀県、奈良県、兵庫県、和歌山県736
中国岡山県、島根県、鳥取県、広島県、山口県95
四国愛媛県、香川県、高知県、徳島県54
九州福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、
宮崎県、鹿児島県、沖縄県
178
国外94
合計11,857
日本弁理士会会員の分布状況(2024年5月31日現在)|日本弁理士会

参照元:日本弁理士会会員の分布状況(2024年5月31日現在)|日本弁理士会

東京都に在籍する弁理士は6,387人。弁理士総数11,857人中、実に半数以上が東京都に籍を置いています。2位・大阪府の1,747人と比較しても圧倒的です。
弁理士は他の士業(例えば税理士など)と比べても地域分布が極端に偏っています。比較的大規模な弁理士事務所は大企業から案件を受任することが多いため、大企業が多く存在する大都市圏、特に東京に弁理士が集まっているのです。

私が東京の弁理士をおすすめする理由は以下の4つです。

  • 自分が求める専門性を持つ弁理士を見つけやすい
  • 自分と相性の良い弁理士を見つけやすい
  • 適切な価格帯でサービスを提供している
  • バリエーション豊富な案件を取り扱っている

自分が求める専門性を持つ弁理士を見つけやすい

地方では弁理士の数が少ないため、自分の会社の専門分野に合った弁理士を捜すのに苦労することが多いようです。その点、東京には様々な専門性を持った弁理士がいます。

私の事務所では、単に商標登録の手続きを行うだけでなく、その前段階にあたる商品名や会社名のネーミング、企業のブランド戦略(ブランディング)についてもアドバイスをしています。このような特徴あるサービスを展開することができるのも東京の事務所ならではです。

自分と相性の良い弁理士を見つけやすい

自分の求める専門性を持つ弁理士を捜すのも大変なわけですから、それに加えて自分とツーカーでやり取りできる、気の合った弁理士を捜すのは至難の業でしょう。

東京の弁理士はSNSやブログなどの情報発信を積極的に行っている弁理士も多いです。SNSやブログにはその弁理士の人柄がにじみ出ます。SNSやブログでの発信内容を参考に弁理士を選ぶことで、予期せぬミスマッチの確率を減らすこともできます。

商標登録は一度の手続きで終わるものではなく、将来的な戦略も含めた長期的なサポートが必要です。そのため、弁理士との相性も非常に重要です。長く付き合える弁理士を捜すなら東京でしょう。

適切な価格帯でサービスを提供している

東京は弁理士の人数、弁理士事務所の数が多く、競争も激しいです。実務のスキルが高いことはもちろん、適切な価格でサービスを提供しないと、他の事務所との競争に勝てません。

サービス内容に見合わない価格を提示している事務所は自然と淘汰されていきます。それ故、適切な価格帯でサービスを提供している事務所が増えるのです。

バリエーション豊富な案件を取り扱っている

東京には様々な企業から案件が舞い込んできます。扱っている商品やサービス、業種の数も多い。企業からの要望も多種多様です。取り扱う案件の数や種類が多ければ、経験値は当然に高まります。

距離は東京の弁理士を選ばない理由にはならない

地元の弁理士を選ぶ理由として、気軽に相談に行ける距離感の近さを挙げる人がいます。

しかし、インターネットやクラウド、ITツールをうまく使うことで、距離的なデメリットはほぼ解消されます。例えば、書類やデータのやり取りはチャットツール(Chatwork、Slackなど)を使ってオンラインでできますし、相談や打ち合わせはウェブ会議システム(Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなど)を利用することで、気軽に行うことができます。

東京の弁理士はこれらのツールの取り扱いにも慣れており、距離の壁を感じることはないはずです。実際、当所でもオンライン相談に対応しており、地方の企業からのご依頼でもスムーズに対応することができる体制を整えています。わざわざ東京まで出かけなくても、質の高いサービスを受けることができるのです。

まとめ|東京の弁理士に商標登録を依頼した方が良い理由

以上、東京の弁理士に商標登録を依頼した方が良い理由について説明しました。
その理由をまとめると以下のとおりです。

  1. 自分が求める専門性を持つ弁理士・自分と相性の良い弁理士を見つけやすい
  2. バリエーション豊富な案件を取り扱っていて、適切な価格帯でサービスを提供している
  3. インターネットやオンラインツールを使うことで距離的なデメリットはなくなる

商標登録を検討している地方企業の方々、東京の弁理士に相談してみることも一考ですよ!

クロスリンク特許事務所からのお知らせ

クロスリンク特許事務所(東京都中央区銀座)は中小企業専門の特許事務所です。
日本弁理士会 関東会で中小企業支援の活動に10年間携わってきた「中小企業の知財」のスペシャリストである弁理士が貴社からのご相談をお待ちしています。

当所代表弁理士のヤマダは商標登録やネーミングに関するセミナー登壇、専門誌・業界誌への記事執筆なども行っています。

  • セミナー(日本弁理士会関東会主催「知的財産セミナー」、経済産業省・中小企業庁主催「ふるさとデザインアカデミー」、近畿経済産業局「知的財産セミナー」、インターナショナルギフトショーなど)
  • 記事執筆(ヘアモード社「美容の経営プラン」、近代セールス社「近代セールス」、ビジネスガイド社「月間ぎふとPREMIUM」など)

下のボタンをクリックし、今すぐ専門家である弁理士に相談してください。お問い合わせフォームが表示されます。

山田 龍也
この記事を書いた人
弁理士/ネーミングプロデューサー/テキスト職人。ローテク特許/ネーミングから始める商標登録。専門誌「美容の経営プラン」で「守りと攻めのネーミング」を5ヶ月連載。経済産業省・中小企業庁「ふるさとデザインアカデミー」講師。樺沢紫苑セミナーコンペで3位入賞。全ては言語化から始まる。趣味はスイーツの食べ歩き。
地方企業が東京の弁理士に商標登録を依頼するメリット

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次