昨日、マッサージ方法については特許を取ることができないというお話をしました(*1)。
それでは、マッサージサービスに関する名称について商標登録を受けることはできるのでしょうか?
今日は、マッサージサービスについて商標登録を受けることができるかどうか、についてお話をしたいと思います。
マッサージサービスに関する名称については商標登録を受けることができる
所定の登録条件を満たせば、商標登録を受けることができます。
「商標」は、商品やサービスについて使用をする文字やマークと考えてください。
例えば、マッサージについて使用する文字商標「てもみん」が登録されています(商標登録5560746号)。
商標登録を受けたい場合には、商標(文字やマーク)とともに、その商標を使用したい商品やサービスを記載して商標登録の出願書類を提出します。
商品やサービスは45の区分に分類されています。
それらの区分の中から、その商標を使用したい商品やサービスを選択して出願をするわけです。
マッサージサービスに関しては、第44類に「あん摩 マッサージ及び指圧 カイロプラクティック きゅう 柔道整復 はり」というサービスが例示されています(類似群コード:42V01)。
これらの中から自分が名称やマークを使用したいサービスを選択して出願すればよいということになります。
商標を出願すると、
- その商品の普通名称、慣用商標、記述的商標ではないこと等(識別力)
- 他人の周知商標や登録商標と抵触する商標ではないこと等(登録阻却事由)
など、商標登録を受けるための条件を満たすか否かの審査が行われます。
これらの条件を全て満たすと判断された場合には、商標登録され、商標権を与えられます。
マッサージ以外の商品・サービスを指定する必要はありませんか?
商標登録においては、商標と商品・サービスがセットになっています。
言い換えると、商品やサービスが違うと、商標権の効力が及ばなくなるケースがあるということです。
マッサージの施術だけを行うのであれば、第44類「マッサージ」を指定すればよいかもしれません。
ただ、マッサージに関する業務はマッサージの施術だけではないので注意が必要です。
マッサージサービスと同じ商標を使って、
- マッサージオイル
- マッサージ器
- マッサージ用ローラー
などのオリジナル商品を販売したいというケースはあると思います。
また、マッサージサービスと同じ商標を使って、
- マッサージに関するセミナーを行いたいというケースもあるでしょう。
しかし、これらの商品・サービスをカバーするためには、第44類「マッサージ」を指定しただけでは不十分です。
例えば、
「第3類 マッサージオイル」(類似群コード:04C01<化粧品>);
「第10類 マッサージ器」(類似群コード:09E25<業務用美容マッサージ器>、10D01<医療用機械器具>、11A08<家庭用電子マッサージ器>);
「第21類 マッサージ用ローラー」(類似群コード:21F01<化粧用具>);
「第41類 マッサージの技術又は知識の教授」(類似群コード:41A01<技芸・スポーツ又は知識の教授>);
等を指定する必要があります。
指定する区分が増えると、区分数に応じて特許庁に支払う料金(出願料と登録料)が上がっていきます。
- 出願料(審査に必要なお金): 基本料金3,400円に1区分当たり8,600円を加算した額
- 登録料(商標権を10年間維持するためのお金): 28,200円×区分数
また、弁理士(特許事務所)に手続きを依頼した場合は、その弁理士手数料も区分数に応じて加算されていくことが多いです。
従って、予算に応じて適切な商品・サービスを指定することが大事です。
まとめ
- マッサージサービスに関する名称については商標登録を受けることができる。
- マッサージ以外の商品・サービスを指定する必要がないか検討すべき。
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