事例から学ぶネーミングのコツ|花王「キュキュット」 |本日のポイント
今回の事例は、花王の食器用洗剤「キュキュット」です。
「キュキュット」のネーミングのポイントは以下の3つです。
② 他の人とは視点をずらす
③ 説明するのではなく、感覚的に伝える
ネーミングのコツ①| 音に注目する
最初のポイントは、「音に注目する」ということです。
商品名でもサービス名でも会社名でも、全ての名前には必ず3つの要素が入っています。
- 見た目(外観)
- 音(称呼)
- 意味内容(観念)
の3つです。
名前は、
- 目で見て
- 耳で聞いて
- 脳みそで理解する
ものだということです。
「キュキュット」の中で最も際立っている要素は「音」です。
洗った後のお皿を指でこすった時に出る「キュッキュッ」という音。
あの音をモチーフにしたネーミングなのです。
大抵の方はネーミングをする時に「意味内容」から考える傾向があります。
だから、商品の機能や用途、メリットなどを単に説明したにすぎない、つまらない商品名しかネーミングできないのです。
名前の「意味内容」だけでなく、名前の「音」の部分にも注目するというのが大事なのです。
ネーミングのコツ②|他の人とは視点をずらす
2番目のポイントは、「他の人とは視点をずらす」ということです。
商品名は同じ種類の多数の商品の中から自分の商品を選び出してもらうための目印です。
他社の商品と似たような商品名を付けてしまうと、商品を購入する人が商品を区別することができません。
たくさんの商品の中に自分の商品が埋没してしまい、自分の商品を差別化することができないわけです。
だから、ネーミングの際には、他社の商品とはネーミングの視点をずらした商品名の方が差別化をしやすいということです。
皆さんはキレイなお皿をどう表現しますか?
「ピカピカ」ではないでしょうか?
でも、「キュキュット」はキレイなお皿を指でこすった時の「キュッキュッ」という音で表現しています。
このように「音」で表現した商品名は他に見たことがありません。
「キュキュット」というネーミングの勝因は、「他の人とは視点をずらした」、「誰も注目していなかった音に着目した」ことなのです。
なんとなく他社の競合品やヒット商品の名前に引っ張られてしまう。
そういう人を多く見かけます。
他の人とは違う視点でネーミングをしてみるというやり方も試してみてください。
ネーミングのコツ③|説明するのではなく、感覚的に伝える
最後のポイントは、「説明するのではなく、感覚的に伝える」ということです。
先程、名前には3つの要素があると言いました。
- 見た目(外観)
- 音(称呼)
- 意味内容(観念)
の3つですね。
この中で、見た目(外観)と音(称呼)は感覚的・直感的に把握することができます。
これに対し、意味内容(観念)は感覚的・直感的に把握することができません。
頭で理解して初めて把握することができるものです。
商品名の「見た目」や「音」を「意味内容」という形に変換する必要があるために、「見た目」や「音」より伝わり難いわけです。
皆さんは、人の説明を聞くのは好きですか?
私は嫌いです(笑)
人は他の人のクドクドした説明なんて聞きたくないんですよ。
それにも拘らず、殆どの人は、商品の種類、商品の成分、商品の効用(メリット)等を説明的に表現した商品名を作ってしまいます。
例えば、「手ピカジェル」という商品がありますよね?
この商品名は、「手がピカピカになるジェル(状の商品)」を短縮したものです。
これって説明的な商品名だと思いませんか?
これに対し、「キュキュット」は、お皿をキレイにする効果を文字で説明するのではなく、お皿をこすった時の音から一発で感覚的に伝えていますよね。
これが、「キュキュット」というネーミングの優れている点なのです。
皆さんもネーミングをする際には言葉で説明するのではなく、イメージで伝えるということを意識してみてください。
ネーミングのコツ|まとめ
「キュキュット」のネーミング、いかがでしたか?
ネーミングのポイントは、
② 他の人とは視点をずらす
③ 説明するのではなく、感覚的に伝える
です。
特に、「③説明するのではなく、感覚的に伝える」は使って欲しいテクニックです。
商品の特徴を言葉で理解させるのではなく、イメージで感覚的に伝える。
こうすることで、説明的ではない魅力的な名前を付けることができるようになります。
ぜひ、使ってみてください!
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