はじめに
先週、「色だけの商標」が初めて登録査定を受けたことが話題になりました。「色だけの商標」は平成27年4月から出願を受け付け始めた新しいタイプの商標のうちの一つです。
今日から何回かに分けて新しいタイプの商標を紹介していきたいと思います。
昔は「色だけの商標」は登録を認められていなかった
ヤマダが弁理士試験の受験生だった頃は、商標と言えば、
● 文字
● 図形
● 記号
● 立体的形状
で、これらに必要に応じて色を付けたもの、というのが常識でした。
一方、商標として認められないものの具体例に挙がっていたのが、
● 目に見えない商標(音など)
● 動く商標
● 色だけの商標
です。
以前は「色だけの商標」は商標登録を認められていなかったのです。
新商標は全部で5種類。「色だけの商標」は最後に登録を認められた
しかし、最近では企業のブランド戦略が多様化してきました。
このような事情を考慮して導入されたのが新しいタイプの商標(新商標)です。
新商標は全部で5種類。
● 音商標
● 動き商標
● 位置商標
● ホログラム商標
● 色彩のみからなる商標(色だけの商標)
です。
新商標は平成27年4月1日から出願の受け付けが始まり、徐々に審査が始まっていました。5種類の新商標のうち、「音商標」「動き商標」「位置商標」「ホログラム商標」については既に商標登録を認める査定が出ていたのですが、「色だけの商標」は登録査定が出ていませんでした。
今回、「色だけの商標」について登録査定が出たことで、5つの新商標の全てが商標登録を認められたことになります(*1)。
初の栄誉に輝いたのは「mono消しゴム」と「セブンイレブンの看板」の配色
「色だけの商標」、初の栄誉に輝いたのは2件。
この配色、見覚えがありますよね?
そう。「mono消しゴム」と「セブンイレブンの看板」の配色です。
トンボ鉛筆は「消しゴム」について、セブン-イレブン・ジャパンは「各種小売サービス」について、この配色を独占的に使うことができます。
まとめ
5種類の新商標の中で、「色だけの商標」の登録査定が遅れていたのは、色には限りがあり、特定の会社に独占を認めると他の会社に対する影響が大きいからでしょう。
特許庁サイドもかなり慎重に審査をしていたと予想されます。
実際、この2件の審査過程を見てみると、審査官と何度も面談をしていたり、追加の書類を出したりと、かなり苦労して登録査定に持ち込んだ様子が伺えます。
今まで492件の「色だけの商標」が出願されています(H29.2.20現在)。
でも、登録を認められたのは、まだ2件。
「色だけの商標」について登録を受けるのは、かなりハードルが高そうです…。
参考サイト
(*1)色彩のみからなる商標について初の登録を行います|経済産業省
商標登録に興味が出てきた人へ
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