事例・エースコック「焼きそばモッチッチ」から学ぶネーミングのコツ|擬音語・擬態語をヒネる
(1)ターゲットを意識する
「焼きそばモッチッチ」は、女性をターゲットにしたカップ焼きそばです。
従来のカップ焼きそばに対する「生麺の食感と違う」「麺に歯ごたえがない」という不満に応え、新技術「真空仕立て麺」を投入。
麺の「噛みごたえ」「コシ」「弾力」を向上させています。
ターゲット層の女性を意識して、キュートなパッケージデザイン、小ぶりで持ちやすいカップを採用し、シーンを選ばず手軽に食べられることを考慮しています(*1)。
だから、ネーミングにおいても、ターゲットである女性を意識しています。
それが、次に説明する「擬音語・擬態語をヒネる」に表れています。
(2)ネーミングテク「擬音語・擬態語をヒネる」
「モッチッチ」は言うまでもなく、焼きそばの麺の食感を表現する擬態語「モチモチ」に由来する商品名です。
「モチモチ」や「モッチモチ」という商品名でも、麺のモチモチ感にこだわったこと、商品のアピールポイントは伝わると思います。
でも、そのまま使うのではなく、ちょっとひねりを加えて「モッチッチ」としたところがポイントです。
小さい「ッ」(促音)を2つ入れたことにより、リズミカルで弾むような軽快な語感の商品名になっています。
カップ焼きそばと言うと、男性が頬張るイメージです。
しかし、こういうちょっと可愛い語感の商品名を付けることで、ターゲットとしている女性にも訴求することができます。
猿のキャラクター「モンチッチ」を連想する人もいるかもしれません。
「モンチッチ」の「キュート」「カワイイ」というイメージと相まって、この商品に対して親しみを感じる女性もいるはずです。
CMキャラクターにローラを起用していることにも意図を感じます。
彼女のカワイく、屈託のないイメージが、この商品に対する「キュート」「カワイイ」というイメージを増幅するのに貢献しています。
(3)「擬音語・擬態語をヒネる」のメリットは、覚えやすさ+独自性
擬音語は状態を表す語、擬音語は実際の音を表す語です。
麺を表現する場合で説明すると、実際の状態を表す擬音語の例としては「ツルツル」「ズルズル」等が、状態を表す(実際に音は出ていない)擬態語の例としては「モチモチ」「シコシコ」等があります。
擬音語・擬態語には、
● 音や状態をストレートに表現している
● 日頃からよく使われる言葉である
● 同じフレーズや音を繰り返すものが多い
等の特徴があり、すんなり頭に入ってきやすく、覚えやすいというメリットがあります。
但し、誰もがよく知る擬音語・擬態語をそのまま使ってしまうと、ありきたりな商品名になり、他の商品との差別化ができなくなったり、商標登録を受ける際の障害になるおそれがあります。
そこで、ひねりを加えて独自性を出すわけです。
「モッチッチ」は、擬態語の「モチモチ」に由来していることが明らかです。
また、「モチモチの食感」はグルメリポートでも頻出用語で、誰でも知っている言葉です。
そのため、非常に覚えやすい商品名となっています。
商品の特徴や従来の商品との差別化ポイントもストレートに表現されています。
それに加えて、「モチモチ」を「モッチッチ」とヒネることで、ポップ、キュート、カワイイ等、元の「モチモチ」にはないイメージを付加することに成功しています。
この部分が商品名としての独自性になっているわけです。
まとめ
商品名やサービス名を覚えてもらいたい場合、普及させたい場合には、
● 擬音語・擬態語を使う
という方法を試してみてください。
そして、独自性を出すために、
● 擬音語・擬態語をそのまま使うのではなく、ヒネる
ということもお忘れなく。
参考サイト
(*1)「モッチッチ おいしさの秘密」(モッチッチ ブランドサイト)
ネーミングに興味が出てきた人へ
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