事例・最中「モーなか」から学ぶネーミングのコツ|誰でも知ってる「あの音感」を拝借する
「モーなか」は北海道常呂郡佐呂間町の和菓子店・大月菓子店が販売している最中です(*1)。
▲ 箱を開けるとこんな感じ。牛の形をしています。
牛の形をした皮の中に、北海道産の小豆を使ったつぶあんと求肥(ぎゅうひ)が入っています。
つぶあんはしっかりとした甘みでコクがあります。
皮が普通の最中よりしっとりしています。
パサパサしないので食べやすいですね。
「モーなか」は、北海道のお土産新作コンクールでネーミング賞を取っています。
「最中に『モーなか』ってどうなのよ?(笑)」と思う方もいるかもしれません。
しかし、このネーミングは結構、考えられています。
(1)どんなお菓子かすぐわかる
その商品がどんなお菓子か、一発でわかりますよね。
「もなか」の「も」と「な」の間に長音符を1つ噛ましただけ。
中身は最中以外ないじゃないですか(笑)
最近、シャレた商品名を付ける人が増えてきました。
しかし、あまりにシャレた名前を付けてしまうと、その中身が一体何なのかわかりにくくなります。
例えば、「萩の月」。
今では有名なお菓子ですから、誰でも知っています。
でも、発売当初のまだ認知度が低い段階では、名前だけではどんなお菓子か分からなかったはずです。
いちいち説明しないと、中身をわかってもらえない。
その点、「モーなか」は説明不要の優等生です。
(2)商品の特徴もすぐわかる
商品の特徴もわかりやすいですよね。
商品は、牛の形をした「最中」。
牛の鳴き声は「モー」。
「最中」と「モー」を組み合わせて、「モーなか」。
わかり易すぎる(笑)
(3)誰でも知ってる「あの音感」を使っている
「モーなか」って、どこかで聞いたことある音に似ていませんか?
そう。「モー娘。」(もーむす)。
「モーニング娘」の「モー娘。」です。
作った人がここまで意図していたかどうかはわかりませんけどね。
ただ、こういう耳馴染みのある音感にしておくと、お客さんに商品名を覚えてもらえます。
口コミも発生し易くなるはずです。
誰もが知ってるあの音感、聞き覚えのあるあの音感を拝借する。
イメージをダブらせる。
これは覚えておきたいネーミングテクニックです。
おまけ・「モーなか」のネーミングの惜しいところ
「モーなか」は、お土産新作コンクールでネーミング賞を取っただけあって、非常にいいネーミングです。
これだけ、商品の普通名詞である「もなか」に近い音だと、商標登録もハードルが上がるんですが、しっかり商標登録も取れてますしね(*2)。
ただ、ちょっと惜しいなと思う部分もあります。
もう1つ2つ、捻ると更に良い名前になるからです。
(1)原材料
惜しかった点の1つ目。
原材料です。
「モーなか」の包装紙には、「牧場のまち佐呂間」「さろま牧場」の文字、牛のデザインがプリントされています。
そして、最中の皮は牛の形をしていて、商品名にも牛の鳴き声「モー」が入っています。
「当然、原材料にも牛乳を使ってるんだよね?」と思うじゃないですか。
でも、原材料表記を見る限り、牛乳が入ってない!
「うーん。なぜ、角を取らない…」(by 児玉清)
実に勿体ない。
地元特産の牛乳を使った名産品を作れる可能性があったのに、単に「牛の形をした最中」になってしまいました…。
(2)まる
惜しかった点の2つ目。
「まる」です。
ここは「モーなか。」でしょう。
「まる」を1つ入れるだけで、「モー娘。」を強くイメージさせることができます。
シャレが効いてきて、商品を手に取った人がニヤニヤしてくれると思うんだけどなぁ。
ここはちょっと残念…。
まとめ
「モーなか」の分析、いかがでしたか?
ちょっと惜しい部分もありましたが、なかなか良いネーミングです。
皆さんもネーミングをする際には、
● 商品の種類がわかるような名前にする
● 商品の特徴・アピールポイント・固有の魅力がわかる名前にする
● いつかどこかで聴いたことがある、あの音感を拝借した名前にする
という点を意識して、センスの良い商品名を考えてみてくださいね!
参考サイト
(*1)御菓子司 大月
(*2)登録5420243号公報|特許情報プラットフォーム(J-Platpat)
ネーミングに興味が出てきた人へ
ネーミングに興味が出てきた方はぜひ以下の記事も読んでみてください。きっと、気付きがあるはずです。
ネーミングのコツ。センスの良い商品名を作るための5つのポイント
他のネーミングの記事はこちらから。