事例・キリンビール「本麒麟」から学ぶネーミングのコツ|トップメーカーの覚悟と決意を示す
3/1に、第29回 読者が選ぶ「ネーミング大賞」の受賞ネーミングが発表されました。
受賞一覧を見ても、正直、ピンとくる名前はあまりなかったですね(苦笑)
そんな中、良い商品名だなぁと改めて感じさせてくれたのが、生活部門の1位に輝いた、キリンビールの「本麒麟」です。
ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。
(1)商品名に社名を入れて覚悟と決意を示す
「本麒麟」の「麒麟」。
言うまでもなく、製造元であるキリンビールの屋号です。
「アサヒスーパードライ」のように、商品名「スーパードライ」に社名「アサヒ」を冠しているというのではなく、商品名「本麒麟」の中に社名の「麒麟(キリン)」がズッポリと入っています。
商品名に社名を入れる、というのはギャンブルでもあります。
社名を入れるということは、その会社の肝入りの商品であることを内外に示すということ。
絶対に失敗できない商品なのです。
逆に言えば、それだけの自信を持って送り出した商品とも言えます。
消費者の側から見れば、
①「あのキリンが社名を入れた商品を出してきた!」
②「相当、自信がある商品なんだろうな。」
③「美味いに違いない!」
④「飲んでみよう!」
となるわけです。
(2)強調語でメッセージを強化する
「本麒麟」の「本」。
「本物」の「本」、「本気」の「本」です。
社名の「麒麟」を商品名に入れているだけでも相当の覚悟を感じます。
それに、更に「本」まで入れちゃってます。
「本」を付けることで更にメッセージを強化しているわけです。
ネーミングの由来には、
「日常的に飲むものだからこそ、一番うまいものをつくりたい。」というキリンビールのビール会社としての覚悟と強い想い、そして本物を追求する姿勢を込めて、社名に「本」をつけ、商品のネーミングとした。
とあります。
覚悟、想い、姿勢。
こういうメーカー側の「本気」が商品名から滲み出てくる。
だからこそ、消費者の心を動かすのです。
強調語の例としては、「本」の他に、「真」とか「The」等も使えそうです。
社運を懸けたイチオシ商品。
ここぞというときに使ってみると良いかもしれません。
(3)文字数を少なくして印象を強める
「本麒麟」。
漢字でたった3文字です。
それなのに、すごく重厚な印象を与える商品名ですよね。
理由は、本気・本物の「本」と、社名の「麒麟」の組み合わせだから。
迫力があります(笑)
ネーミングでの注意点。
それは、名前が長くなればなるほど覚え難くなり、見た人の印象にも残らないということ。
大抵の人は情報を詰め込みすぎて、文字数・音数を増やしてしまいます。
伝える情報を絞る。
大事な情報を1つだけ伝える。
1つの言葉に商品に懸ける思いを全てぶつける。
それに徹した方が熱量が伝わる良い名前になります。
「本麒麟」の場合は、
「俺たちは本気で美味いビールを作ったぜ!」
「飲んでみてくれ!」
そんな思いを漢字3文字に込めています。
ネーミングでは文字数あたりの情報量、情報密度を上げることが大事なのです。
まとめ
「本麒麟」はキリンビールの過去10年の新商品の中で売上No.1を記録しています。
ネーミング大賞でも1位を取ったので、名実ともにNo.1ということですね(笑)
良い商品には良い名前をつける。
名前と中身の相乗効果で売上が伸びていく。
これがネーミングの醍醐味だと思いますよ。
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