ネーミングのコツ|ユーザーメリットをイメージさせた「からまん棒」、「霧ヶ峰」|本日のポイント
ネットを徘徊していたら、懐かしの家電「からまん棒」に関する記事を見つけました。
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昔の家電には印象的な商品名が多かったですね。
「からまん棒」は1980年代に販売されていた日立の洗濯機です。
洗濯槽の中心に、撹拌羽が付いた棒が突き出ていて、洗濯物が絡まり難いことを謳っていました。
「霧ヶ峰」は1960年代から販売されている三菱電機のエアコンです。
昨年(平成30年)、省エネ大賞を受賞する等、今も現役で活躍し続けるロングセラー商品です。
今日はこの「からまん棒」と「霧ヶ峰」が題材です。
「からまん棒」と「霧ヶ峰」から学びたいネーミングのコツは以下の3つです。
② 商品の構造をユーザーメリットに結びつける
③ ユーザーメリットをイメージで伝える
ネーミングのコツ①|機能ではなく、ユーザーメリットを伝える
ネーミングのコツ、1つ目は、機能ではなく、ユーザーメリットを伝えるということです。
ユーザーにとってはどれだけ機能が凄いかということよりも、自分がどんなメリットを得られるのかの方に関心があるからです。
家電のような機能的な商品については、ついつい高機能であることをアピールしたくなるものです。
サイクロンがどうだとか、AI搭載でどうしたとか。
でも、それは作り手の目線です。
ユーザーはその機能があることによって何が嬉しいのか、そこを知りたいわけです。
だから、機能を押し出した商品名よりも、ユーザーメリットを伝えられる商品名の方が見込客の心にササる可能性が高いと言えます。
「からまん棒」は洗濯物が絡み難いというメリットを伝えています。
「霧ヶ峰」は高原のような涼しさを得られるというメリットを伝えています。
この2つの商品名はいずれも機能ではなく、ユーザーメリットを伝えているわけです。
ネーミングのコツ②|商品の構造をユーザーメリットに結びつける
ネーミングのコツ、2つ目は、商品の構造をメリットに結びつけるということです。
「からまん棒」の構造上の特徴は、洗濯槽の中心に撹拌羽が付いた棒が突き出ている点です。
そして、この棒が洗濯物を絡まり難くするというのが、ユーザーのメリットです。
商品の構造が直接、ユーザーメリットに結びついているわけです。
この棒を「洗濯物を絡ませないための棒」→「からまん棒」と名付けて、洗濯機自体の商品名にもしています。
洗濯槽の中心に棒が突き出ている洗濯機は珍しいですから、「棒が突き出ている洗濯機」→「からまん棒」と覚えてもらえますよね。
このように、商品の構造がユーザーメリットに直接結びついている場合は、その構造に由来するネーミングをするというのが有効です。
「からまん棒」という表現も秀逸ですね。
これを「攪拌棒」と言ってしまったら、機能的で堅い表現になり、見込客には刺さらないでしょう。
「からまん棒」という表現の親しみやすさが功を奏しています。
ネーミングのコツ③|ユーザーメリットをイメージで伝える
ネーミングのコツ、3つ目は、ユーザーメリットをイメージで伝えることです。
「霧ヶ峰」という言葉の持つイメージ。
涼やかで心地よい風が吹く高原のイメージ。
「このエアコンなら、そういう心地良さを得られますよ」と訴えているわけです。
エアコンの一番のウリは「涼しさ」ですから、「霧ヶ峰」という言葉の持つイメージがピタッとハマるんですよね。
この手のネーミングの場合、「涼しい」ということを直接的に表現すると、説明的な表現になってイマイチです。
「涼しい」をイメージさせる別の言葉を持ってくる。
「涼しい」を象徴する別の言葉を探す。
これが大事なんです。
「霧ヶ峰」と似たアプローチのネーミングに、日立のエアコン「白くまくん」があります。
白熊は北極の氷の上にいますよね。
涼しいというイメージを伝えるにはもってこいの言葉です。
ネーミングのコツ|ユーザーメリットをイメージさせた「からまん棒」、「霧ヶ峰」|まとめ
「からまん棒」と「霧ヶ峰」から学びたいネーミングのコツは、
② 商品の構造をユーザーメリットに結びつける
③ ユーザーメリットをイメージで伝える
でした。
特に製造業の方はご自慢の機能を全面に押し出した商品名を付けがちです。
その商品名でユーザーメリットが伝わるかどうか、今一度、確認することをお勧めします。
ネーミングのコツ|ユーザーメリットをイメージさせた「からまん棒」、「霧ヶ峰」|おまけ
実は、「からまん棒」には洗濯物を絡ませない効果が殆どなかったようです。
そうなると、洗濯槽の中心に突き出た棒はじゃまになるだけ。
ネーミングは良かったけれど、機能の方はイマイチでした(苦笑)
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